時々相談をいただきますので私見を述べます
前提として妊娠・授乳中でも乳癌になる方はいらっしゃいます。そこで検診を受けるには
①その人が受けるメリットがあるのか、
②なんの検査をすべきか、
を考える必要があります
①に関しては、40歳以下の女性の定期的な検査は乳癌での死亡率を下げるデータがありません。しかし、家族歴など乳癌のリスクは皆さん異なること、40代での妊娠が珍しくないことから、リスクなどのある40歳未満の方、40代の方はやはり検診を受けたほうがよいと思います
②に関して、どのような検査をするかですが、原則的には「乳がん検診により、早期乳がんを発見し、早期治療し、予後を改善する」を目標にするとマンモグラフィーを勧めるべきですが、妊娠中にあえて行うべきか、また、授乳中の乳房では病変を見つけづらいことが予想されることから、マンモグラフィーよりは超音波検査(エコー)で代用するのが現実的かなと考えます
多くの女性を対象に効果を考えるときはエビデンスや、予後を意識しないといけません
しかし、個人個人のリスクや不安の大きさはさまざまでそこには多少の柔軟性も必要かと思います
少し使い方が間違っているかもしれませんが、 Think globally, act locally. です
(生存率を下げるのか、といったことについては上記の説明を言い訳にします)
長くなりましたが まとめると 「妊娠・授乳期は検査するなら超音波で」
また、授乳中は通常の乳腺と比べ触った感じも異なり、乳瘤などの腫瘤ができたときに触診だけでは実際の腫瘤と区別できず、そのように症状があるときは検診でなく保険診療として受診してください。
松戸乳腺クリニック 高柳