乳腺炎

うっ滞性乳腺炎

産褥期に多く見られ、乳汁分泌が不完全で乳管がうっ滞することにより生じます

多くの場合無菌性です

搾乳や乳房マッサージなどで保存的に軽快することが多いですが、予防的に抗生剤を使用することはあります

化膿性乳腺炎

うっ滞性乳腺炎に細菌感染を伴い生じます。また産褥期に関係なく細菌感染により生じることがあります(喫煙者に多いです 喫煙により乳管上皮の扁平上皮化を生じ、それによりうっ滞しやすくなります)

陥没乳頭の方は乳管が詰まりやすく、乳腺炎を繰り返すことがあります 

軽度のものは抗生剤などで治療しますが、悪化すると乳輪下膿瘍などの膿瘍を生じ切開などの処置が必要になります

炎症による発赤

DISEASE of the BREAST 第5版より

乳輪下膿瘍

細菌感染が重症化すると膿瘍という膿の塊を形成します。

乳輪近くにできることが多いです

この段階では有痛性の硬結を触れることがあり、抗生剤のみの治療で困難な場合は穿刺や切開により排膿することがあります

肉芽種性乳腺炎

授乳後数年してから起きることが多く、乳房内の腫瘤として触れます

マンモグラフィや超音波検査でも乳癌との鑑別が困難な事があり、組織検査が必要になります

乳癌が否定できれば肉芽種性乳腺炎としての治療を行いますが、決まった方法はなく、ステロイドを用いることもあれば、自然に軽快することもあります

数カ月から場合によっては1年以上の治療期間が必要になることがあります