

腋窩(えきか 脇の下の意味です)の症状を訴える方は多いです
その時に疑わしいのは主に以下の5つです
- 乳がんの腋窩リンパ節転移
- 悪性リンパ腫などのリンパ節腫大
- 乳腺炎など良性疾患でのリンパ節腫大
- 副乳
- 皮膚などの腫瘤が偶然腋窩にできたもの
(1.2は頻度は低いのですが、悪性疾患でありきちんと否定する必要があります)

乳がんの腋窩リンパ節転移
- 乳房の中に乳癌があり、その乳がんが進行すると腋窩のリンパ節に転移をします。がんが転移したリンパ節は硬く腫れます。
- まれに乳房内には乳がんが見つからないのに腋窩リンパ節に転移を認めることがあります。(潜在性乳癌)
- 正常なリンパ節と癌の転移したリンパ節は超音波検査で区別がつきます。正確に調べるにはリンパ節の細胞や組織を調べます。

悪性リンパ腫でのリンパ節腫大
- 悪性リンパ腫は体中のリンパ節が腫れ、発熱や倦怠感などが出ることがあります。体の奥のリンパ節よりも腋窩のリンパ節は触ってわかりやすいため自分で気づく方も多いです。
- こちらも超音波検査で腫大したリンパ節を認めます。必要な時は細胞診や組織診を行うことがあります。

正常なリンパ節腫大
- 悪性疾患でなく腋窩のリンパ節が腫れることがあります。
- 乳腺炎などの炎症疾患や前胸部に入れたタトゥーでも少し腫れることがありますがまれです。
- 超音波検査で癌の転移などが否定できればそのままで心配ありません。
- 正常なリンパ節が腫大したものと悪性のリンパ節は通常みれば区別がつきますが、必要な時は細胞診など行うこともあります。

副乳
- 人の発生過程で乳腺原基と呼ばれるものがあり、。乳腺の元となるものです。これが線状に並ぶ乳腺堤と呼ぶものがあります(右図参照)。腋窩(脇の下)から乳頭を通り、腹部、鼠径(足の付け根)まで続きます。
- 人間では通常h乳房の高さの乳腺原基だけが一対発育します。他の哺乳類では多数の乳腺が発達します。(猫や牛さんにたくさん乳首があるのはこれが理由です)
- 乳房の高さ以外の乳腺が発達したものが副乳で、多くは脇の下や、腹部(肋骨の少し下くらい)にみられることが多いです。
- 月経前の違和感が乳房と同様に副乳の部位で見られることや、授乳期に大きくなることもあります。副乳は皮膚の下に埋もれてしまっている場合と、小さな乳頭のようなものが皮膚表面にあることもあり、授乳期に副乳から母乳が出ることもあります。
- 副乳そのものはすぐに治療の対象になりませんが、症状があるとき、邪魔な時などは切除することがあります。
- また副乳の乳腺組織に癌ができることがあり、副乳の部位に硬いしこりのようなものができているときは注意が必要です。
- 副乳がある方は硬くなるなどしてきたときはご相談ください。


皮膚腫瘤
粉瘤(アテローム)や脂肪種など皮膚関係の良性腫瘤がわきの下にできることがあります。治療はそれぞれの腫瘤に準じます。(感染している粉瘤であれば切開などの処置が必要です)